前回は、使用する成分と配合量について記載しました。

新製品はどのように生まれるのか？（②使用する成分と配合量の決定）

ここまで来ると、いよいよ製品創りはもっとも難しい局面に突入します。
いわゆる「味」の方向の決定です。

 

スポーツサプリメントの味は、「機能性成分の味」に左右されます。

例えば、よく「甘くない補給食は創れないんですか？」と言われますが、補給食の使命は「使用したらすぐにエネルギーとして使用できる」というところにあり、その主成分は「糖」であり、製品重量の大半を占めています。
こういった理由で、甘くない補給食を作ることは基本的に難しいのです。
ですが、補給のたびに甘ったるいゼリーを使うのはストレスが大きくなるので、どこのメーカーも「出来るだけ甘さを感じることなく使えるような味付け」を苦心して探しています。

さて、味を優先的に考えるのであれば、癖のある機能性成分を使わない、あるいはごく少量に留めることができれば「美味しく」開発することは難しいことではありません。
ただ、味を優先して機能性成分の選定・使用量に制約を加えるということは、言うまでもなく機能が下がる可能性が大きいわけです。
この点に関しては前回のブログでも記載しましたが、成分名だけを記載して含有量が明確でない製品は「何故、含有量の記載がないのか？」、私自身はとても不思議に思います。
パッケージ表示に関して言えば、ごく微量しか配合していなくても記載は可能です。ただ、身体に影響を与えるほどの量が入っていないとすれば……。パッケージの情報で期待して選んだユーザーを裏切ることになってしまいます。

 

なので、アスリチューンの場合は、まず成分と配合量を優先して決定し、その味を確認して「どんな味なら不自然でないか？」という模索が始まるわけです。

この作業は、はっきり言って「沼」です。
何故なら、味に対する反応は好みが大きく分かれるからです。

Ａさんが「良いね！」と言っても、Ｂさんは「ちょっと癖があるね…。」という。
Ｃさんが「甘さが控えめな感じだね！」と言っても、Ｄさんは「甘ったるい…。」という。

人の嗜好に「好み」がある以上、万人が「これは美味しい！」と絶賛する味は絶対できません。
もちろんそれに向けて努力してきましたが、やればやるほど限界を感じます。

なので、アスリチューンが目指すゴールは、「これなら（必要な時に）使える」というレベルです。

それでも簡単に決められることは全くなく、何種類ものデモ製品を試して、方向性を修正して整えていきます。
例えば、「オレンジ味」では「温州みかん」に近い味なのか？「ブラッドオレンジ」に近い味なのか？
今回のコーヒー味は、コーヒー感の強さや酸味の感じ具合など、より「自然なコーヒーゼリーに近づけるように」何度もデモ製品を創っていただきました。
味は使用感を大きく左右する要素だけに、「この程度で妥協しよう」という決め方はしていません。生まれた製品を「美味しい」と言って頂くこともあれば「好みじゃない」と言われることもありますが、とことん検討を繰り返して決定していることなので、これは「仕方ない」と思うようにしています。

味が決まると使用原料の微調整を行います。
例えば現行のポケットエナジーの場合、「１０５ｋｃａｌ・マグネシウム２５ｍｇ／包」はマストです。
味の調整を行った結果、これらの数値が確保できないとなると、もはやポケットエナジーではなくなります。
内容量（４７ｇ／包）は決まっているので調整は非常に難しいものになりますが、クリアしなければならない課題です。

このような作業を経て、ようやく処方が決まっていくのです。

 

ここまで、３回に渡って製品が生まれる流れを紹介してきました。
スポーツライフを存分に楽しむために使っていただく「使いやすい製品」を生み出すのがユーザーの役目。
これからも「なるほど！」と思っていただける製品を世に出していきたいと思います。

これからのアスリチューンにも是非ご期待ください。