前回からの続きです。
「こんな特性を持った製品を加えたい」という方向が決まった後は、「どんな成分を使用して製品化するか？」という検討に入ります。
ここで活きるのが「どんな機能をもった食品原料があるのか？」という情報です。
確かな科学的根拠を持った機能性成分をピックアップし、その成分を使用して開発するという流れになりますが、成分によっては、その特性上、ゼリーにするのが難しかったり他の機能性成分との相性が悪いということもありますので、一筋縄には行かないこともあります。
その場合、同じような特性を持った他の機能性成分を探し、検討を繰り返すことになります。
また同じ機能を持った成分でも、例えば「天然由来原料」と「合成原料」のように、基原が異なるものもあるので、製品の特性やポリシーに即した原料を選定していくことになります。
今回のポケットエナジー（＋カフェイン）の場合、「既存のポケットエナジーにカフェインをプラスする」という、一見シンプルな開発のように見えますが、例えば「カフェイン」という成分一つとっても「天然カフェインと合成カフェイン」というような違いがあります。
選ぶ基準として、前述の特性やポリシーに加え、「コストと安全性」に関する検討も欠かせません。
もちろん、コストは低く安全性は高ければ簡単なのですが、そうはいかない場合もあります。
販売単価が安いスポーツサプリメントで企業として利益を上げるには、出来るだけ生産コストは抑えたいところです。ただそればかり優先してしまうと、ユーザーのメリットにはならない。
誤解が無いように触れておきますが、上に書いた「安全性」とは「成分的に健康被害を及ぼす可能性がある」または「使用が認められていない成分」という訳ではなく、例えば「日常的に飲食によって身体に入ってくる成分」なのか、または「経済効率を考えて合成的に生み出された成分なのか？」という意味です。
これまでもブログで触れてきましたが、例えばカフェインという成分は機能の表れ方に個人差が大きいため、弊社では日常的に口にする機会の多い「コーヒー」に含まれる「天然カフェイン」を使用しています。
この「成分の選定」や「機能性成分の含有量」は原価に大きく関わってきますので、企業の姿勢が垣間見える非常に分かりやすいバロメーターだと思います。
蛇足ですが、例えばパッケージに華々しく「◯◯（成分名）配合」と謳っておきながら、何処を見ても配合量の記載がない場合、私は「入っていたとしてもごく微量なのではないか？」と勘ぐってしまいますが、意外と「成分が入っている」という情報だけで盲目的に選んでいる方も多いかもしれません。
機能が欲しいのであれば「確かな成分と確かな配合量」を確認するのが賢い選び方。
アスリチューンが使用する機能性成分と配合量を決めるときは、「その成分を選んだ理由・その配合量に決めた理由」を明確にしています。
ちなみにポケットエナジーにはマグネシウムが２５ｍｇ配合されています。
この成分は、多く摂りすぎると「お腹が緩くなる」という特性を持っています。デリケートな方でも、この程度の量であればお腹への影響は少ないと考え、配合量を決定しました。
また、ポケットエナジーに入っている「中鎖脂肪酸」という成分。
これは、飲みやすさを左右する「ゼリー」にこだわった結果、どうしても１包当たりのカロリー数が１００ｋｃａｌに満たないという開発上の課題に直面した時に、「糖よりも油脂の方がカロリーが高い」、また、「中鎖脂肪酸は体脂肪をエネルギーに利用するのを促進し、スポーツとも相性が良い」などというところから生まれたアイディアです。
ただ、量を増やし過ぎると油っぽさが表に出てくるので、最低の数値として設定した「１０５ｋｃａｌ」をクリアするための量に留めています。
※ ↓ 開発当時、中鎖脂肪酸に関するブログを書きました。こちらもご参照ください。
「どんな成分を選び、どれくらい配合するのか？」
それはメーカーにとって、自社の姿勢をユーザーに非常にシビアに判断されるだけでなく、製品の特性を際立たせる大きな武器にもなるのです。
次回は使用感を大きく左右する「味」に関して記載していきます。
