「プレッシャーに負けずによく頑張った」という言葉は
過度に緊張することなく自分をコントロールすることができたアスリートへの賛美です。
競技開始前にコーチや監督が「リラックスして行けよ」「落ち着いてな」と声をかけるシーン。
最高のパフォーマンスを発揮させるために「緊張を解して欲しい」という気持ちが込められています。
スポーツイベントの出店を続けていると、会場へ乗り入れてくる救急車を見ることが良くあります。
自転車の落車・マラソンでは転倒による怪我、その他熱中症や急激な意識不明ということもありました。
ドクターヘリを見たのも1度や2度ではありません。
出来れば見たくない光景ですし、聞きたくない音です。
スポーツ時、私たちの身体には平常時には見られない変化が多くみられます。
筋肉に多くの負荷がかかってエネルギーや酸素を大量に供給する必要がある時
拍動は早く、そうでないときはゆっくりと。
呼吸数も無意識に増え、体温の上昇を抑えるための発汗・周りの状況をしっかり把握するための瞳孔の拡大など、意志でコントロールができない身体の反応があります。
つまり、その人が置かれている環境に応じて、無意識でも身体を適応させる機能です。
これらをコントロールしているのが自律神経。
この自律神経が暴走すると、不必要に心拍数が上がったり異常な発汗・血圧の上昇などが見られます。
この自律神経の以上を誘発する要因は幾つかありますが、疲労の蓄積や過酷な環境での活動、
また睡眠不足も大きな要因の一つです。
疲労が溜まった状態だと身体が正常に機能しなくなるのは言う間でもありませんが、
例えば異常な暑さや寒さに適応するだけでも身体には大きな負担で、正常に機能しなくなるのも頷けます。
生活リズムの基本とも言える睡眠。
これが不足したり時間帯が急激に変わったりすることも大きな影響を与えます。
いわゆる「時差ボケ」の状態を経験したことのある方も多いと思いますが、
自律神経の乱れの身近な例でしょう。
長丁場の自転車レースやウルトラマラソン・トライアスロンなどは
スタート時間が非常に早いケースがあります。
レースによってはオーバーナイトセクションを設けているものもあります。
仕事を終え、自分で運転しながら長距離を移動し、ようやくレース開催地に到着。
疲労は抜けきらず身体のリズムもボロボロという状態ではベストのパフォーマンスを発揮するのは難しい。
それでも、目標にしてきたレールの当日を迎え、スタートラインに並ぶ。
恐らく、多くのアスリートが緊張しているでしょう。
この時身体の中では、緊張することによりストレスホルモンが分泌され、自律神経に影響を与えます。
心拍は早まり体温も血圧・血流も上昇します。
もしこれらが許容値を超えて上昇したとすると…。残念ながらパフォーマンスは著しく下がります。
そんな状態で無理をすると、場合によっては命にかかわる事態になることもあるかもしれません。
誤解が無いように言いますが、「レースには余裕を持って臨むべし」と申しているのではありません。
スポーツを楽しんでいる方には「仕事の都合と折り合いをつけて楽しんでいる」という方が多いでしょう。
社会人としての責任を果たし、その上で趣味として楽しんでいる。
時間的にも経済的にも、多くの方が制約がある中でスポーツに真剣に取り組んでいます。
レース前日に会場に入り、しっかりと睡眠をとってスタートラインに立てる方は限られています。
だからこそ自分の体調に目を向け、耳を傾けていただきたい。
今や、持久系スポーツをたしなむ方の多くが心拍計を身に着けていると思います。
自分の平常時心拍やスポーツ時の心拍をある程度把握していれば、異常値に気付くはずです。
また心拍以外にも「何かおかしいな?」と感じることがあれば、無理はしないことです。
すぐにリタイヤする必要はないかもしれませんが、ペースを落として様子を見るなどするべきです。
スポーツを楽しむ方の多くは市民アスリートでしょう。
「命に代えても勝つべきレース」は無いと思います。
レース後は元気な身体で日常の生活に戻ることが、
市民アスリートとして最優先すべきゴールかもしれません。
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